ナビゲーター:楠木かなえ
こんにちは!薬剤師の転職をサポートしている楠木かなえです。
今回は、「タイプ別薬剤師適職診断」で見事、自分らしい働き方を見つけたGさんの体験談をご紹介します。Gさんは、難病の患者さんを救いたいという熱い思いで大学病院に入職した5年目の薬剤師。しかし、職場のドロドロとした派閥争いに巻き込まれ、すっかり疲れ果ててしまっていました。そんな彼女がどのように自分自身と向き合い、「派遣薬剤師」という人間関係のしがらみのない道を選んだのか。職場の人間関係に悩む薬剤師さんの大きなヒントになるはずです!
Gさんの悩み:仕事とは関係ない派閥争いでヘトヘト…
Gさんは病院に勤める5年目の薬剤師。
難病に苦しむ患者さんを救いたくて、念願の大学病院へと入職しました。なのに、最近は仕事に集中できず、深く悩んでいます。原因は…
新人の頃からずーっとこの病院にいる40代後半くらいのお局様と、2年前に一般の病院から転職してきた30代前半くらいの若手の「シゴデキ」さん。この2人を巡る派閥争いで、ここ2年間、職場の人間関係はドロドロなのです…。
シゴデキさんが以前いたところは高度医療を扱う病院ではなかったので、薬の知識がものすごく豊富というわけではありません。しかし、来て早々に薬剤部内の無駄な業務の数々をリストアップし、それらをバッサリ切り捨てるよう薬剤部長に進言しました。
それで薬剤部長にめちゃくちゃ感謝されたものだから、お局様を始めとした保守派がブチ切れ。以来、「大した知識もないくせに出しゃばって」とチクチク言っているのですが、そんなことで折れるようなシゴデキさんではありませんでした(笑)。
シゴデキさん自身は自分の味方を増やしたいとか、そんなつもりはないみたいですが、今までお局様を良く思ってなかった人や、純粋にシゴデキさんの業務改革に賛同した人たちが団結してしまい、「保守派 vs 革新派」の対立構造が完全にできあがってしまったのです。
なんとか両派閥を、せめて仕事中だけでも連携させようと頑張ってきたGさんですが、完全に板挟み状態でもうヘトヘトに…。
なんで仕事と全然関係ないところで、こんなに悩まないといけないんだ…!!
なぜこの悩みを抱えてしまうのか -タイプ診断から分析-
そんなGさんに、当サイトの適職診断を受けてもらったところ、Gさんは「場を和ませる調整役」タイプであることがわかりました。
このタイプは、実は結構人懐っこい性格をしているのですが、それは「ある程度環境が整っていての話」です。
💡 場を和ませる調整役タイプの特徴
ドロドロした人間関係が1番苦手です。他の人がどちらかの派閥について自分の立場を確保し、うまくやり過ごしている中でも、このタイプは何とか自分が馴染みやすい環境を作ろうと、無意識に関係を取り持とうとしてしまいます。
その結果、周りからは八方美人に見えたり、自分自身が激しい板挟みになって苦しんだりしやすい傾向があります。
極端な話ですが、Gさんのような調整役タイプは、こうした人間関係のしがらみから物理的に距離を置ける、派遣薬剤師のような働き方が1番合っているのです。
タイプ診断を知ったGさんの感想・気づき
診断結果をお伝えした時のGさんは、とても腑に落ちた様子でした。
ドロドロの人間関係は本当に苦手。まさにその通りです…!
ドロドロが好きな人はいないと思うんですけど、とはいえ、うちのお局様みたいに自らドロドロにしている人もいるわけじゃないですか(笑)。しかも他の人はそんな環境でも自分のスタンスを保っていられるけど、私は間に入ってうまく立ち回ろうとして、結局どっちつかずになってしまうんです。
スパイなんじゃないかって疑われたこともあるし…それくらい、周りからすると「あなたは一体どっちの味方なの?」って思うような態度なんだと思います。
「でも、人間関係の問題ってどこの職場でも発生しうるので…それから逃れるには、派遣みたいに『1つの場所にずっといない』という方法しかないんですよね。」とGさん。
とはいえ、まだ若いのに正社員を辞めて派遣になることへの戸惑いはありました。
「せっかく勉強したいと思って頑張って大学病院に入ったのに。もちろん、それで心をすり減らしていたら意味がないですが…。」
そう簡単に決心はつきませんでした。
「なんで?」を繰り返し、出した答えは派遣薬剤師
数ヶ月悩んだ末、Gさんは派遣薬剤師になることを決断しました。
その決め手となったのは、自分がしたいこと、したかったことに対して「なんで?」「なんで?」と深く問い続けたことでした。
Q. 勉強がしたくて大学病院へ行った。
→ なんで?
A. 勉強しか自分の取り柄がないと思ってたから。
→ なんで?
A. 自分は言われたことしかできない指示待ち人間で、世の中の役に立つには『知識』を武器にするしかないと思ってたから。
「そう、純粋に勉強がしたかったというよりは、『勉強することで社会の役に立っている自分』に安心していたんです。」
もちろん、薬学部に進んだ時点で大半の人が病院や薬局に就職しますから、病院に就職したこと自体は不自然なことではありません。実際、タイプ診断の結果にも「勉強することで自信がつき、その知識をもとに行動できるようになる」と書かれていました。
「だったら大学病院にいた方が良いんじゃないか?」とも考えたそうです。
しかし、いくら高度な知識を詰め込んでも、この病院のやり方しか知らない状態で「勉強になった」と言えるのでしょうか?
「学生の頃は視野が狭くて、『より高度な知識を詰め込むこと』が勉強だと思っていました。でも、今はもう学生じゃない。点と点を繋げてこそ、学びに意味があるんです。お局様は『大した知識もないくせに』とシゴデキさんを叩いてましたが、シゴデキさんはむしろ、これまでの経験という点と点を結びに来たのだと思います。」
薬局の仕事、病院の仕事、それぞれを知ってこそできることがある。
薬局の正社員になろうかとも迷いましたが、余計な人間関係に「学びの機会」を邪魔されては意味がないと考え、Gさんは派遣として働く道を選びました。
気になる転職後の生活は?
派遣という働き方は、病院からも薬局からも求人が出ているため、今までやっていないことができ、毎回新鮮だそうです。
実はタイプ診断には『明確なルールが決まっている方が仕事しやすいタイプなので、マニュアルが完備されている大手が良い』と書かれていたのですが、「せっかく様々な職場を経験するために派遣になったのだから」と思って無視して中小に行ってみました(笑)。
確かに、中小はマニュアルが整ってない上に教えることにも慣れていないのか「見て覚えろ」的なスタンスの方も多くて、最初は困りましたね。
でも、様々な店舗のやり方を見ていくうちに、「あ、ここは前々回の店舗みたいにこういうふうに仕事すると良いかも!」「今回は最初に行ったあの店舗のオペレーションをアレンジして立ち回ろう」というように、自分で考えて動けるようになってきたと言います。
もちろん、派遣先によっては「派遣は投薬でもしてろ」というスタンスの店舗もあり、毎回必ず深い勉強になるというわけではありません。しかし、「それなら契約更新しなければ良いだけのこと」とGさんは割り切っています。
「薬局ってこういう仕事してるんだなぁ、とか、地域病院は大学病院には来ないこういう人も診てるのか!とか、いろんな気づきがあって楽しいですよ。」
何より最大のメリットは、定住しないから人間関係に悩むことがほとんどないこと。
たまに知らずにハラスメント気味の薬局や、ギスギスした職場を選んでしまうこともあるそうですが、「終わりが見えているだけマシ」とのこと。せいぜい1〜2ヵ月など長期で入らないように調整し、淡々と仕事をしてやり過ごしているそうです。
今後やってみたいこと
派遣で新鮮な刺激をもらえることはとても楽しいと感じているGさんですが、今後のキャリアについても冷静に見据えています。
派遣社員でずっといることには不安がありますし、いつかはラウンダーなどにも挑戦してみたいです。会社は限定されますけど、様々な店舗を経験できますよね!
ただ、ラウンダーはある程度『管理者目線』で店舗を見れる人が求められていると思うので、一度どこかで管理薬剤師などの経験を積んだ方が良いなと考えています。
診断結果にあった「マニュアルが完備されている大手が良い」というアドバイスも、ここへ来て活きてきそうです。
大手チェーンなら人の動きも流動的で、ハラスメントにも厳しいため、大きな人間関係の問題は起きにくく、マニュアルも整っていて働きやすい。やることがはっきりしていて、裁量権が少ない環境でなら、調整役タイプの自分でも管理薬剤師ができるはず、とGさんは考えています。
「人間関係の問題はどこに行ってもゼロじゃないし、だったら管理薬剤師の経験を積むまでの間、大手調剤チェーンかドラッグストアに腰を据えてみようかなと思っています。」
最後にGさんは、笑顔でこう語ってくれました。
「大学病院の経歴はあって良かったけど、あのまま一生あの病院で缶詰になるのは、私には合ってない生き方だったんだなって。むしろあの派閥争いも、私に生き方を教えてくれるヒントだったのかもしれないと、今は思えます。」
楠木かなえからのメッセージ
Gさんのストーリー、いかがでしたか?
「職場の人間関係」は、薬剤師の退職理由でも常に上位に挙がる問題です。特に「場を和ませる調整役」タイプの方は、他人の感情に敏感な分、知らず知らずのうちに板挟みになり、心をすり減らしてしまうことが多くあります。
そんな時、「派遣薬剤師」や「パート」といった、あえて一つの場所に縛られない働き方を選ぶことは、決して逃げではありません。自分を守りながら、様々な現場を見て経験値を積む立派なキャリア戦略の一つです。
人間関係に疲れ果ててしまう前に、ぜひ一度、自分らしい働き方について考えてみませんか?