ナビゲーター:楠木かなえ
こんにちは!薬剤師の転職をサポートしている楠木かなえです。
今回は、「タイプ別薬剤師適職診断」でご自身の隠れた強みに気づき、思い切って企業へと飛び込んだUさんの体験談をご紹介します。Uさんは、大手調剤薬局チェーンで働く真面目で頑張り屋さんな2年目薬剤師。しかし、日々の業務に疲れ果てていました。「決められたことしかできない…」と悩んでいた彼女が、どのようにして心穏やかに働ける【DI職】という天職に出会ったのか。店舗の人間関係やスピード感に悩む方は必見です!
Uさんの悩み:毎日急かされて、服薬指導が怖い…
Uさんは、新卒で大手調剤チェーンに入社し、今年で2年目を迎える薬剤師です。とても真面目で、学生時代からコツコツと勉強に励む頑張り屋さんでした。
しかし、最近のUさんは心身ともにとてもお疲れ気味。実を言うと、新人の頃から「服薬指導」に強い苦手意識を持っていたのです。
毎回、患者さんからどんな質問が飛び出すか分からなくて…。「もし答えられなくてクレームを言われたらどうしよう」と、カウンターに出るたびにガチガチに緊張してしまうんです。
私はミスをしたくないので、1つ1つ丁寧に確認しながら進めたいタイプ。でも、大手チェーンで忙しい店舗ということもあり、患者さんから「そういう説明はいいから早くして💢」と急かされることも多くて…。周りの先輩たちからも「もっと要領良くさばきなよ」と思われている視線を何となく感じてしまい、毎日萎縮しています。
自分のペースで丁寧な仕事をしたいのに、常にスピードを求められ、不測の事態(クレームや想定外の質問)に怯える毎日。「私って、こんなに忙しい店舗の薬剤師には向いていないのかな…」とすっかり自信を無くしてしまい、もっと落ち着いて働けるゆったりした薬局への転職を真剣に考え始めていました。
なぜこの悩みを抱えてしまうのか? -タイプ診断から分析-
そんな疲れ切ったUさんに、当サイトの適職診断を試していただいたところ、Uさんは【真っ直ぐな努力家】タイプであることが分かりました。
目標や理想に向かって一生懸命努力できる素晴らしい素質を持っていますが、要領良くパワフルにガンガン突き進むというよりは、「地道にコツコツと積み上げていく」ことを得意とするタイプです。
💡 真っ直ぐな努力家タイプの特徴
真面目でコツコツ派の努力家さんにとって、一番の天敵は「適度に手を抜く要領の良さ」や「場当たり的・臨機応変な対応」を求められる環境です。次々とやってくる患者さんを急かされる前に瞬時に捌き、急かされてもテキパキ淡々とこなす、かなりのスピード感と柔軟な判断を常に求められる大手の忙しい薬局に居続けると、人一倍エネルギーを消耗し、すぐに疲れ切ってしまう傾向があります。
ただ、Uさんにとっての唯一の救いは、大手の忙しい薬局は良くも悪くも「人の流れが流動的」であることでした。真面目なUさんにとって、厄介な患者さんに深く絡まれたり、面倒でドロドロした職場の人間関係に巻き込まれたりすることも大きな消耗の原因になります。そのため、「深く付き合う前に、パッと離れた方が精神的には楽」という一面も持ち合わせていました。
タイプ診断を知ったUさんの感想・気づき
診断結果をお伝えしたところ、Uさんの心境に大きな変化がありました。
私は昔から「自分で考えて臨機応変に動く」のが大の苦手なんです。だから、決められたルールやマニュアルを実行することしかできない。そんな自分は薬剤師としてどころか社会人としてダメなんだと自信がなくて、余計に患者さんの前に立つと怯えてしまっていました。
でも、診断結果と解説を見てハッとしました。「決められたことしかできない」とマイナスに捉えるのではなく、「決められたことは、誰よりもきっちり・丁寧にできる」のが私の強みなんだって。
つまり、私がうまくいかなかったのは、ルールが細かすぎるのに『早くやれ』と矛盾した指示を出される今の環境が合っていなかっただけ。私に合っているのは、『時間をかけてでも、ルールをしっかり守り切ることを優先してくれる会社』だったんですね!
診断のアドバイスに従って「企業DI職」へ転職!
自分は「確固たる知識」と「丁寧なマニュアル」さえあれば、問題なくきっちり仕事ができるタイプなのだと自信を取り戻したUさん。しかし、ここからが転職先の見極めです。
「大手の薬局は成果主義のところが多く、どこの店舗も忙しいと聞きます。じゃあ中小の薬局はどうかと友人たちに聞いて回ったら、当たり外れが激しいらしくて…。ブラックすぎて休めないか、ホワイトすぎて経営が心配になるかの2択。しかも、マニュアルがちゃんとしてなくて『店舗独自の暗黙ルール』や『お局様のマイルール(笑)』がまかり通っている所も多いみたいなんです」
それはそれで、ルールをきっちり守りたいUさんの性格からすると非常に働きづらそうです。「それに、小さい薬局にしても、結局変な患者さんに絡まれたり、急かされたりするリスクは同じですよね…」
- マニュアルがしっかりしている
- 時間をかけて丁寧に対応することが評価される
- 変なクレームや患者さんに直接絡まれるリスクが低い
この条件を満たす場所として、Uさんが辿り着いた答えが「企業への転職」でした。BtoB(企業間取引)や電話越しの対応ならば、店舗で直接怒鳴られたりするリスクは格段に下がります。
エージェントと相談し、企業職の中でUさんに最も合いそうだと紹介されたのが「DI(ドラッグインフォメーション)職」でした。各製薬企業の問い合わせ窓口(コールセンター)を請け負い、与えられた資料やFAQをもとに、医療従事者からの問い合わせに正確に回答するお仕事です。
「回答例やマニュアルがちゃんと用意されている仕事なら、私にもできるかも!」
そう思い、勇気を出して応募してみました。薬剤師の就活は一般企業に比べると比較的緩やかなので、初めての企業面接にガチガチに緊張したそうですが、運良く人員募集の多い時期だったこともあって、割とすんなり内定を獲得!簡単な筆記試験もありましたが、真面目なUさんにとっては一般常識さえあれば十分に合格できるレベルだったそうです。
気になる転職後の生活は?
薬局から企業(オフィスワーク)へと働き方を大きく変えたUさん。今の生活について聞いてみました。
薬局時代との一番大きな違いは、『営業時間が終わったらピタっと仕事が終わる』ことと、『目の前で腕組みをして急かす人がいない』ことです!
薬局の頃なんて、待合室の電気を消してロールカーテンを閉めても、調剤室の電気が点いてるのを見て「まだ大丈夫ですかぁ〜?」ってこじ開けて入ってくる人、普通にいましたからね。大丈夫なわけないだろ!って(笑)。しかもお断りすると「死んだらどうしてくれるんだ!」とか脅してくる人もいて…。男性職員がいない日だと、身の危険すら感じて本当に怖かったんです。
その点、今のDIの仕事は、時間になると電話システムが自動で繋がらなくなります。締め時間直前にかかってきた電話が長引かない限りは、基本そこで終わり。薬歴みたいに問い合わせの記録を残す業務があるので、日中に書き終わらなければ残業になることもありますが、そこは配属先のチームの人員配置次第ですね。
電話対応という点ではプレッシャーがないわけではありませんが、問い合わせてくるのは大半が医師や薬剤師などの医療従事者。「たまーに横柄な口調のドクターもいますが、怒鳴られても脅されても、目の前に立たれていないだけ全然マシです(笑)」と、Uさんは明るく笑います。
「転職して、かなり心の平穏は保たれています。やっぱり、薬局のあのスピード感やクレーム対応は、もっとメンタルがパワフルで臨機応変な人向きなんだなって実感しました(笑)」
今後やってみたいこと
心に余裕が生まれたUさんに、これからやってみたいことを伺いました。
事務作業が残るかどうかは日によりますが、少なくとも『顧客対応』が定時にほぼ確実に終わるので、夜の予定が格段に立てやすくなりました。なので、前からずっと行きたかったピラティスに通ってみようかと思っています!以前は仕事が終わる頃にはヘトヘトで、運動どころじゃなかったので…
もちろん、企業に転職して収入は薬剤師時代より少し減ってしまいました。それに、薬剤師としての現場の感覚も完全に忘れてしまうのは怖いので、生活が落ち着いたら、土曜日だけ派遣薬剤師として単発のバイトをするのも良いかな、なんて前向きに考えています!
「こんな自分はダメだ」と怯えていた頃の姿はもうありません。自分の「真っ直ぐできっちりした性格」を活かせる居場所を見つけたUさんは、仕事もプライベートも充実した新たな一歩を踏み出しています。
楠木かなえからのメッセージ
Uさんのストーリー、いかがでしたか?
「要領が悪い」「臨機応変に動けない」と悩む薬剤師さんは意外と多いものです。しかし、それは決して能力が低いわけではなく、Uさんのように「ルールに従って正確に、丁寧に仕事を進めること」に長けている裏返しでもあります。
無理に自分の性格を変えようとすり減るよりも、自分の特性が「評価される環境」「安心して発揮できる環境」を探す方が、はるかに幸せなキャリアを築けます。
Uさんが選んだDI職をはじめ、企業には「正確さ」や「丁寧さ」が強く求められる仕事がたくさんあります。店舗勤務に限界を感じている方は、ぜひ「企業」という選択肢も覗いてみてくださいね!