ナビゲーター:楠木かなえ
こんにちは!薬剤師の転職をサポートしている楠木かなえです。
今回は、「タイプ別薬剤師適職診断」で見事、自分にぴったりのキャリアを見つけたTさんの体験談をご紹介します。Tさんは、向上心溢れる5年目の病院薬剤師でしたが、なんと「医療系DXベンダー」という全く異なる業界への転職を成功させました。どのような葛藤があり、どうやって道を切り開いたのか。同じようにキャリアに悩む薬剤師さんのヒントになるはずです!
Tさんの悩み:「こんなはずじゃなかった」という焦燥感
Tさんは、非常にパワフルで向上心に溢れる、20代後半の薬剤師。より高度な医療に携わり、働きがいを求めて大学病院に就職して4年が経とうとしていました。
日々、最先端の医療現場に身を置き、知識をアップデートできる環境。周りから見れば「充実した薬剤師ライフ」を送っているように見えます。しかし、Tさんの心の中には、なぜか常に「物足りなさ」がありました。
今の仕事が嫌いなわけじゃないんです。でも、毎日決まった業務をこなす中で、自分が思い描いていた成長とは少し違う気がしていて…。
そんな折、Tさんの心をさらにざわつかせたのは、大学時代の友人たちの活躍でした。
薬局に就職した友人たちは、次々と管理薬剤師や薬局長へと昇進。中には、新規店舗の立ち上げメンバーに抜擢され、イキイキと働いている友人もいました。
「僕も就職した頃は、『業界の権威になってやる!』って誰よりも息巻いてたのになぁ…」と、肩を落とすTさん。
薬剤師として確かなキャリアを積むには、大学病院という環境は間違いなく充実しています。それなのに、「こんなはずじゃなかった」という焦燥感や違和感が、どうしても頭をよぎって消えない。このモヤモヤの正体はいったい何だったのでしょうか?
なぜこの悩みを抱えてしまうのか? -タイプ診断から分析-
そこで、Tさんに当サイトの「適職診断ツール」を受けてもらいました。その結果、Tさんは【理想を掲げる開拓者】タイプであることが判明しました。
「薬剤師としてのキャリアを積んで、業界の権威になるぞ!」という就活生時代の高い向上心と情熱は、まさにこの「開拓者タイプ」特有の性格が強く現れています。高い目標を設定し、それに向かって突き進むエネルギーは並大抵のものではありません。
しかし、Tさんはその素晴らしい向上心を向ける「方向」を、少しだけ間違えてしまっていたのです。
💡 理想を掲げる開拓者タイプの特徴
決められたレールの上を走ったり、既存の枠組みの中で専門性を深堀りし続けたりするよりも、「新しいものを自らの手で生み出す」「まだ誰も手をつけていない新しい分野を開拓する」ことに大きな喜びを感じます。また、純粋な学術的知識の探求よりも、目に見える形での成果や「実利」を得ることで、より高い満足感を得る傾向があります。
つまり、Tさんのポテンシャルが最も発揮される職業環境は、大学病院で「薬学という学問を極める」道よりも、ビジネスの視点を持って「医薬品関連のビジネスを極める」道、あるいはITと医療を掛け合わせた新しい仕組みを作る道だったというわけです。
タイプ診断を知ったTさんの感想・気づき
診断結果と分析をお伝えした時の、Tさんの反応はとても印象的でした。
今まで、薬剤師としてキャリアアップしてより上に行くには、とにかく『薬学の知識を極めるべきだ』と固く信じ込んでいました。でも、適職診断の結果や解説を読んでいると、自分が本当に求めていた深層心理に全く気づけていなかったんだなぁ、とハッとさせられました。
思えば、学生の頃から遊び半分で簡単なスマホアプリをプログラミングしてみたり、動画配信のプラットフォームをいじってみたりと、PCを使ったクリエイティブな作業が大好きだったんですよね。僕のような『開拓者タイプ』は、何か新しい仕組みやサービスを生み出し、それを自分の手で大きく育てていくプロセスが好きなんだそうです。いやぁ、本当に図星というか、当たってますね(笑)
診断のアドバイスに従って「医療系DXベンダー」へ転職活動!
自分の適性と本当にやりたいことに気づいたTさんは、すぐに行動を起こします。目指すは、ITの力で医療現場を支える「医療系DXベンダー(システム開発会社)」への転職です。
「病院時代から、PCの操作や電子カルテのシステムに関することは、薬剤部の誰よりも詳しかった自信がありました。だから、電子カルテの開発や改善に直接関われたら最高だなぁと思って、転職活動を始めたんです」
しかし、現実はそう甘くありませんでした。
いざ求人を探してみると、募集はあっても求められているのは情報工学などを学んできた「ガチのシステムエンジニア(SE)」ばかり。Tさんは理工学部を出ているわけでもなく、ただの「趣味でPCを触っているだけの、ちょっとパソコンが得意な薬剤師」でしかありません。書類選考の段階で弾かれることも多く、そう簡単に採用されるはずもありませんでした。
それでも、開拓者タイプのTさんは諦めません。持ち前のバイタリティで、次々と新しいアプローチを試みます。
- 副業レベルで作っていたお薬手帳アプリをブラッシュアップし、独自の「ポートフォリオ」としてまとめる
- 電子カルテ会社だけでなく、「電子薬歴」のシステム会社にも選択肢を広げる
- 同期のツテを頼り、休みの日に調剤薬局でアルバイトをして現場のニーズを徹底リサーチ
「とにかく、未経験の壁を突破するために、今自分にできることは何でもやりました」
そうして粘り強くアピールを続け、なんと12社目の面接でのこと。Tさんの熱意と、薬剤師としての現場経験、そして独自のポートフォリオが社長の目に留まりました。
「君、面白いね。とりあえず、うちでアルバイトとしてシステム開発のアシスタントをやってみる?」
という、願ってもないお声をいただくことができたのです!
そこは、お薬手帳のアプリなどを開発している比較的小さなベンチャー企業でした。正社員としての採用ではありませんでしたが、Tさんにとっては「未経験から実務経験を積む」という、実績づくりのための絶好のチャンスを掴み取った瞬間でした。
気になる転職後の生活は?
憧れの医療IT業界へと足を踏み入れたTさん。その後の生活はどうだったのでしょうか。
最初はアルバイトからのスタートだったので、平日は病院で通常勤務をして、休みの日や仕事終わりにベンチャー企業でWワークをするという形でした。正直、体力的にめちゃくちゃハードな生活でしたよ(笑)。
でも、毎日が新しくて楽しくて仕方なかったです。
熱心な働きぶりが評価され、徐々にベンチャー企業での勤務時間を増やしてもらえるようになりました。そして2年後、ついに大学病院を退職。生活費の足りない分だけ派遣薬剤師として稼ぎながら、システム開発の仕事にフルコミットする体制を整えました。
その後、さらに実績を重ねて、晴れてその企業で正社員として迎え入れられることになったのです!
「正社員になってからの労働時間は、正直言って病院時代と同じくらい長いです。システム開発の仕事は、新しい機能の導入前や、リリース後に思わぬトラブルが発生すると、夜中でも休日でも関係なく呼び出されて対応に追われることがあります。その点だけを比べれば、前もって夜勤の当番やシフトが決まっている病院の方が、スケジュールは読みやすくてマシかもしれませんね(笑)」
と笑うTさんですが、その表情はとても晴れやかです。
「でも、今は『自分が心の底から好きなこと』をやっているので、精神的なストレスは全くと言っていいほどないんです。やりがいの方がはるかに上回っていますね」
今後やってみたいこと
最後に、Tさんに今後の目標を伺いました。
将来的には、自分で会社を起こしてみたいですね!このままシステム開発業でスキルを磨き続けて独立するのも良いなぁと思っています。
あるいは、自分自身で理想の薬局を開業して、そこで使う予約システムから電子薬歴、在庫管理システムまで、システム面を全部自分でゼロから作り上げるっていうのも楽しそうですね。
すっかり「開拓者」としての自信に満ち溢れたTさん。
「もし、あのまま『こんなはずじゃない』とモヤモヤしながら病院に居続けていたら、数ある組織の駒の1人で終わっていたかもしれないなと思うと…。思い切って自分の直感と診断結果を信じて転職へと踏み出したことで、本当に自分の道が大きく開けた気がしています」
楠木かなえからのメッセージ
Tさんのストーリー、いかがでしたか?
「今の環境が恵まれているから」「せっかく就職したから」と、自分の本当の気持ちに蓋をしてしまう薬剤師さんは少なくありません。しかし、Tさんのように自分の「タイプ」を知り、思い切って環境を変えることで、想像もしていなかった輝かしいキャリアが開けることもあります。
医療系DXベンダーや、企業のシステム関連部署など、薬剤師の資格と知識を活かせるフィールドは、実は病院や薬局以外にもたくさん広がっているんです。
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