ナビゲーター:楠木かなえ
こんにちは!薬剤師の転職をサポートしている楠木かなえです。
今回は、「タイプ別薬剤師適職診断」で見事、自分らしい働き方を見つけたRさんの体験談をご紹介します。Rさんは、持ち前の明るさで患者さんからは大人気でしたが、とある深刻な悩みを抱え、職場で孤立しかけていました。そんな彼女が「フリーランス薬剤師」という道を選び、どのように輝きを取り戻したのか。同じように自分の性格と職場のミスマッチに悩む方のヒントになるはずです!
Rさんの悩み:「ミスは誰にでもある」が引き起こした大事件
Rさんは、調剤薬局で働く3年目の薬剤師。天真爛漫な性格で、どこか人を惹きつける魅力を持つ彼女は、患者さんから「Rさんと話すと元気が出るわ」と言われるほどの人気者でした。とてもパワフルで、忙しい大型店舗でも疲れを見せることなく元気に立ち回る姿は、一見すると優秀な薬剤師そのものです。
しかし、Rさんには職場内で深刻な問題がありました。それは、ものすごくおっちょこちょいで、「調剤過誤が致命的に多い」ということ。
幸い、これまで人命に関わるような重大なインシデントには至っていませんが、計数間違いや規格間違いなど、ヒヤリハットの数は店舗内でダントツ。いつか大きなミスに繋がりかねない状況でした。
さらに厄介なことに、Rさんの天真爛漫さは、トラブル発生時に「自分のミスなのにヘラヘラしている」「事の重大さを全くわかっていない、反省していない」と周囲の目に映ってしまっていたのです。
実際、この時点でのRさんは、自分のミスの多さがそこまで大問題だとは思っていませんでした。
人間なんだから、ミスは誰にでもあることだもんね!大事になってないし、次から気をつければ大丈夫でしょ!
本人はそう楽観視していましたが、状況によっては他の従業員が彼女の尻拭いをしていることも少なくありません。ある程度はお互い様だとしても、「さも当たり前」かのような態度に、周囲のRさんへの不満は最高潮に達していました。
そんなある日、ついに事件が起こります。
Rさんが早番で定時に上がった後のこと。Rさんが鑑査した一包化の薬が1錠足りず、患者さんから「不安で飲めない!今すぐ全部作り直して!」と薬局にクレームの電話が入りました。
時刻は閉店間際の20時ごろ。遅番のメンバーが急いで患者宅へ出向き、作り直しや回収を行いましたが、患者さんから散々ヒステリックに怒鳴り散らされ、帰宅したのは終電近くになってしまったそうです。
翌朝、出勤してその話を聞いたRさんは、悪気なくこう言い放ちました。
えー!ごめーん!でも、患者さん間違えて飲んでなくて良かったね!終電にも間に合ったみたいだし、ホントお疲れ様!
これを聞いた前日の遅番スタッフはついに大激怒。Rさんは薬局長の裏に引っ張っていかれ、きつく叱責されました。
「あなたはミスが多すぎます。ミスの数には個人差があるし、人間だからある程度は仕方ないにしても、昨日深夜まで対応してくれた上に、自分のしたことでもないのにあなたの代わりに患者さんに怒られてくれた人に対して、その態度はなんですか!?」
しかし、Rさんは困惑するばかりでした。
「謝ったし、間違えて飲んでいなかったことも、終電に間に合ったことも、本当に心からホッとして言ったのに…。『どの態度』がいけなかったの?」
Rさんは自分の行動がもたらした結果と、周囲との強烈な温度差に、ただただ戸惑うしかありませんでした。
なぜこの悩みを抱えてしまうのか? -タイプ診断から分析-
そんな人間関係のトラブルに悩み、当サイトに辿り着いたRさんに「適職診断ツール」を受けてもらったところ、Rさんは【現場を率いる熱血漢】タイプであることがわかりました。
明るく快活で、自信に溢れ、どこか人を惹きつけるようなカリスマ性を持っている。これはまさに熱血漢タイプの素晴らしい長所です。
行動力のあるパワフルな人ですが、その原動力が「衝動性」であるため、よく考える前に体が動いてしまうところがあります。わかりやすく言えば、「慌てん坊、せっかち、早とちり」という一面が現れやすいのです。
💡 現場を率いる熱血漢タイプの特徴
考えるよりも先に行動するタイプ。エネルギッシュで周囲を巻き込む力に長けていますが、その反面、「衝動性」が強く出るとミスを誘発しやすくなります。また、自己肯定感が高い「自信家」でもあり、細かいことを気にしない大らかさを持つ一方で、他者からの評価や周囲の状況に対して鈍感になってしまう(根拠のない自信を持ってしまう)傾向があります。
Rさんの場合、この「衝動性」と「自信家」という性質がダブルで、しかも悪い方向に強く現れた結果、ミスが頻発し、周囲との軋轢を生んでいたと考えられます。
元々細かいことを気にするタチではないため、トラブルになっても「みんなこんなもんでしょ」「大事になったわけじゃないし」とあっけらかんとしていたのは、この「漠然とした根拠のない自信」が悪さをしていたのでしょう。
Rさんのような熱血漢タイプは、落ち着いて冷静に仕事ができる環境が合っています。時間に追われると、どうしても衝動性が顔を出してしまうからです。
ただし、全く変化のない平穏すぎる環境に居続けると「私は今のままで良い」「私は仕事がデキる」という自信過剰に繋がりかねないため、適度に新しい風が吹く(環境が変わる)場所に身を置くことが、成長の鍵となります。
タイプ診断を知ったRさんの感想・気づき
診断結果とこの分析をお伝えしたところ、Rさんは深く頷きながら自分の過去を振り返りました。
うん、慌てん坊、せっかち、早とちりでおっちょこちょい。もう、文字通りまさにその通りです(苦笑)。
思えば昔から、親や友達に「もっとよく考えてから行動しなよ」「慌てなくても大丈夫だから!」ってよく言われてました…。
特に薬局に就職してからというもの、常に時間に追われたり、待ち合いの患者さんに急かされたりすることが多くて。無意識のうちに『せっかちな面』が全開になっていたんだと思います。相手の話をよく聞かずに早とちりしたり、急かされて慌てるあまり、薬歴の確認をパパッと怠ってしまったり。そりゃあ、ミスしますよね…。
自分を客観視できたRさんは、今の職場環境が自分の首を絞めていたことに気づきました。
「そういう意味では、患者さんに急かされることなく自分のペースでできて、バタバタと忙しくない仕事が私には合っているのかもしれません。でも、薬剤師という仕事自体は大好きなんです。患者さんと話すのも楽しいし。」
落ち着いて働ける薬局はあるはずですが、正社員の立場では会社都合で配属が決まるため、店舗を選ぶことはできません。
そこでRさんが注目したのが、適職診断のアドバイスにあった「フリーランス薬剤師」という働き方でした。
「派遣薬剤師に似ていますが、派遣会社を通さずに勤務先と直接契約を結ぶ働き方ですよね。これなら自分で働く薬局も、働き方も選べる!それに、私は1つのところにずっといると『私ってデキる!』と勘違いしてしまうそうなので(笑)、さまざまな店舗で働ける方が絶対に良いみたいです。」
いきなりフリーランスとして独立するのはハードルが高いと考えたRさんは、「まずは派遣薬剤師から始めて、落ち着いて働ける環境を探してみよう」と決意しました。
診断のアドバイスに従ってフリーランス薬剤師へ転職!
さて、将来的にフリーランスを目指すにしても、今の「ミスの多い人」というレッテルを貼られたままでは、信頼も実績もありません。
自分の「衝動性」を指摘され、少し冷静になったRさんは、「ここでいきなり『明日から派遣になります!』と飛び出すのは、それこそ衝動的すぎるかも…」と考え直しました。
そこで彼女は戦略を練り、まずは近隣の落ち着いた雰囲気の薬局で「週3日のパート」として働き始めることにしました。これで最低限のベース収入を確保し、精神的な余裕を持ちます。
そして残りの週2日は、派遣薬剤師として様々な店舗を回ったり、ツテを頼って知り合いの薬局で働かせてもらったりと、経験と人脈を広げる期間に充てたのです。
環境を変えた効果は、すぐに現れました。
自分のペースで落ち着いて働けるようになると、焦りやせっかちな性格からくる「衝動的な行動」がピタリと止まり、あんなに悩んでいたミスが激減したのです。
本来持っていた「おっちょこちょい」な部分が影を潜めると、そこから先はRさんの持ち前の明るさとカリスマ性の大勝利でした。
派遣先やパート先で、こんな言葉をかけられることが増えていきました。
「Rさんがいると調剤室がパッと活気づくよー!またうちの店に来て欲しいな!」
「Rさんがお休みの日にね、患者さんから『今日はあの明るいRさんはいないの?』ってよく聞かれるんだよ。ほんと、うちにずっといてほしいなぁ」
これらの言葉が確かな自信に変わったタイミングで、Rさんは「そろそろもう、フリーランスとして独立できそうかな」と考え、ベースにしていたパートを辞めることにしました。
正社員時代は周囲とギスギスしたまま去ることになってしまった彼女ですが、パート先では惜しまれながら、笑顔で送り出されました。
「働く環境が変われば、人ってこうも変わるものなんだなぁ」としみじみ実感したRさん。お世話になったパート先や知り合いの薬局に「また人手が足りないときは、いつでも私にご依頼くださいね!」と元気に言い残し、本格的なフリーランスの道へと歩み出しました。
気になる転職後の生活は?
晴れてフリーランス薬剤師となったRさん。しかし、待っていればポンポンと仕事が降ってくるほど甘い世界ではありません。最初は案件の依頼はほとんど来ませんでした。
最初の頃は全然仕事が来なくて、派遣を入れたり、ネットで見つけた『フリーランス薬剤師募集』の投稿に応募して単発で働いたりして食いつないでました(笑)。
でも、フリーランスって時給4,000円以上がザラにあるんです。だから、贅沢を望まなければ仕事が少なくても意外と生きていけちゃうんですよ。もちろん、ただボーッと単発の仕事をこなしていたわけじゃなくて、現場のニーズをリサーチしたり、「私、こういう働き方できますよ!」って営業も兼ねていたので、スタートダッシュとしては全然悪くなかったと思います。
その地道な種まきが実を結び、冬の繁忙期に入ると状況は一変します。
派遣会社を通さない分、薬局側からすれば派遣を雇うよりもコストが抑えられるため、繁忙期のRさんはあちこちの店舗から引っ張りだこになりました。持ち前の明るさと、ミスが減って丁寧になった仕事ぶりのおかげで「また次も来てね!」とリピート依頼が殺到したのです。
結果として、繁忙期にはなんと月収70〜80万円ほど稼ぐように。
逆に、処方箋枚数が落ち着く夏の時期は単発の仕事をちょこちょこ入れる程度に抑え、のんびりと過ごすスタイルに落ち着きました。年収ベースで見れば正社員時代と同じ500万円台をキープしていますが、「残業はほとんどゼロ」「夏の暑い時期は無理して働かなくていい」という、圧倒的な自由を手に入れたのです。
実はこれ、とても理にかなった働き方です。
日照時間の短い地域や季節ではうつ病の発症率が高くなることが知られているように、太陽は人々にエネルギーを与えてくれます。
しかし、元々行動力に溢れパワフルな「熱血漢タイプ」の人にとって、夏場の強い太陽は「エネルギー過多」を引き起こし、不要な行動、すなわち『衝動性』を増幅させてしまう要因になり得るのです。
Rさんが無意識のうちに、夏の労働を抑えて冬の繁忙期を中心に働くスタイルに行き着いたのは、自分の適性と季節のリズムを完璧に掴んだ結果と言えるでしょう。
今後やってみたいこと
フリーランスとしての働き方が完全に軌道に乗ったRさんに、今後の展望を聞いてみました。
とりあえず、今はまだ派遣のお仕事も少し受けているんですが、今後は完全に独立して、直接の案件だけでスケジュールを埋められるようにしたいですね。
ただ、案件がたくさん来て忙しくなりすぎたら、また昔みたいに焦ってミスを連発するんじゃないかっていう心配もあって…。だから、ある程度案件が集まるようになったら、私一人で抱え込まずに、信頼できる他のフリーランス薬剤師さんを紹介するとか、『自分が全部背負わなくて良い仕組み』を作っていくべきなのかなって考えています。
「自分が現場を回さなきゃ!」という衝動的な熱血漢から、全体を見渡し仕組みを作る「本物のリーダー」へと成長しつつあるRさん。
自分の欠点から目を背けず、適性に合った働き方を見つけたことで、彼女のキャリアはさらに大きく広がっていきそうです。
楠木かなえからのメッセージ
Rさんのストーリー、いかがでしたか?
「ミスが多いのは自分がダメだから」と自分を責めたり、逆に「人間だもの」と開き直って職場で孤立してしまう前に、「環境が合っていないだけかもしれない」と視点を変えてみることはとても大切です。
特に熱血漢タイプの方は、自分のペースを乱されると本来の良さが消えてしまいます。Rさんのように「フリーランス」という選択肢を持つことで、驚くほど才能が開花することもあるんです。
「自分も独立してみたいかも」「派遣やフリーランスの働き方に興味がある」という方は、ぜひ下記のページから詳しい情報や始め方のステップをチェックしてみてくださいね!