ナビゲーター:楠木かなえ
こんにちは!薬剤師の転職をサポートしている楠木かなえです。
今回は、「タイプ別薬剤師適職診断」を通じて、ご自身の意外な特性に気づき、見事自分にぴったりのキャリアを見つけたDさんの体験談をご紹介します。Dさんは製薬企業のDI職(問い合わせ窓口)として働いていましたが、リモートワークと出社の狭間で「なんだか息が詰まる」というモヤモヤを抱えていました。気弱で心配性だと自認するDさんが、なぜ未経験の「MR」への転職を決意し、成功を収めることができたのか。ぜひ最後までご覧ください!
Dさんの悩み:出社も在宅も「地獄」!?息が詰まる日々の正体
Dさんは、新卒で薬剤師になり調剤薬局に就職しました。しかし、常にバタバタと走り回るような多忙な環境に耐えられず、3年で製薬企業のDI職(ドラッグインフォメーション職)へと転職しました。
製薬企業の問い合わせ窓口として、専門知識を活かしながら電話で丁寧に応対する現在の業務内容は、Dさん自身も「自分に合っている」と感じていました。それなのに、日々仕事をしていると、何だか息が詰まるような、このままここに閉じこもっていて良いのかな…という漠然とした不安を覚えるようになったのです。
原因の一つは、皮肉なことに「充実したリモートワーク制度」にありました。Dさんの職場では週3回のリモートワークが認められています。導入された当初は、「満員電車に乗らなくて良いなんて、なんて快適なんだろう!」と大喜びしていました。
最初は本当に天国だと思いました。でも、家にこもって、問い合わせの電話以外誰とも話さない生活を毎日続けていると、だんだん強烈な閉塞感を感じるようになってきたんです。
それに、私は結構な心配性で…。仕事で困ったとき、出社していればすぐ隣の先輩に聞けるのに、家だとチャットで質問するしかありません。返信に時間がかかると「ちゃんと見てくれてるのかな?」「実は面倒だから放置されてないかな…」って、一人でどんどん不安になっちゃうんです。
だからこそ、週2回の出社日は、周りに人がいる安心感があって少し気が楽になります。とはいえ、「じゃあ毎日出社すればいいのか?」と問われると、それはそれで辛い満員電車での通勤が待っています。出社日がこれ以上増えるのは考えただけでも憂鬱です。
「出社するのも地獄、家にこもってるのも地獄…」と、Dさんはどちらつかずの環境で身動きが取れなくなっていました。
なぜこの悩みを抱えてしまうのか? -タイプ診断から分析-
業務内容自体は嫌いじゃないのに、どうしてこんなにも苦しくなってしまうのか。そこでDさんに当サイトの「適職診断ツール」を受けてもらったところ、Dさんの性格は「じわりと心に染みる癒し手」タイプであることが判明しました。
💡 じわりと心に染みる癒し手タイプの特徴
このタイプは、本来「自由でいたい」という性質を強く持っています。心身ともにリラックスして自由であってこそ、持ち前の豊かな発想力や知恵、そして人への優しさが最大限に発揮されます。
しかしその反面、完全に放り出されると不安を感じやすく、ある程度のマニュアルやガイドライン、そして困ったときに「サポートが得られる環境」があって初めて、安心して仕事に打ち込めるという繊細な一面を持っています。
この診断結果から、Dさんのモヤモヤの正体がハッキリと見えてきました。
リモートワークは一見、会社の管理から自由になれる働き方です。しかし、DさんのDI職としてのリモートワークは、少し性質が違いました。
同じリモートワークでも、フレックス制度があって自分のペースで任意休憩がとれる環境とは異なり、問い合わせ窓口である以上「いつ電話がかかってくるかわからないため、常にデスクに張り付いていなければならない」のです。
お手洗いで1〜2分離席するだけでも、チャットでいちいちチームに報告が必要。つまり、家というプライベートな空間にいながら、実は「会社の厳しい監視の目」に晒され続けている状態でした。
「家の中に缶詰め」にされ、自由を奪われている感覚。それでいて、精神的な「サポートが得られにくい」物理的な距離感。これが、「癒し手タイプ」のDさんにとって最も息苦しさを感じる最悪のコンボとなってしまっていたのです。
タイプ診断を知ったDさんの感想・気づき
診断結果と分析をお伝えした時の、Dさんの反応はとても納得のいくものでした。
確かに、細かく管理されたり、デスクに縛り付けられたりするのってすごく苦手だなぁって思っていました。かと言って、完全に放っておかれると不安で何もできないっていう…本当に面倒くさい性格ですよね(笑)
よくよく考えたら、子どもの頃から家の中にずっと閉じこもってるのも苦手だったんです。大人になるにつれて通勤の大変さを知ってしまったから在宅勤務に憧れたけれど、だからと言って毎日家にじっとしていられる性格でもなかったなと、今更ながら思い出しました。
通勤の辛さの根本についても、Dさんは冷静に分析し始めました。
「通勤が辛い最大の理由は、朝の『満員電車』なんです。もし時差通勤などで混雑が避けられる環境なら、外に出ること自体は苦にならないのかなと思うんです。でも、今の仕事は9:00〜18:00という一番電車が混む時間に合わせた働き方なので、ラッシュを避けることは物理的に無理なんですよね」
そしてDさんは、ポツリとこうこぼしました。
「社会人なんだから、多少の息苦しさや満員電車くらい耐えて当然、ってずっと自分に言い聞かせてきました。でも、わがままかもしれないけれど……何も無理して、自分が『地獄だ』と思うような辛い環境に身を置き続けなくても良いのかな、って少しだけ思えるようになりました」
診断のアドバイスに従って、まさかの「MR」へ転職活動!
そんなDさんに、タイプ診断の解説ツールが提示した「おすすめの職種」の中の一つが、なんと「MR(医薬情報担当者)」でした。これにはDさんも心底驚いたと言います。
私みたいな気弱で心配性な人間が、まさか営業職であるMRに向いているなんて思ってもみませんでした。でも、診断のアドバイスには『癒し手タイプは、何度も足繁く通うことでどんな人とでも深い関係を築くことができる』って書いてあったんです。
流暢なプレゼンが得意な人に比べるとペースはかなり遅いかもしれないけれど、『遅咲きでも必ず大きな成果を出せるタイプ』だと。だったら…元々MRは中途採用の難易度も高いだろうし、ダメ元で一度挑戦してみちゃおうかな!って思えたんです。
思い立ったが吉日。Dさんは一応滑り止めとしてCRC(治験コーディネーター)の選考も進めながら、未経験からMRへの転職活動に挑戦しました。
しかし、現実はそう甘くありません。面接官から見ても、穏やかで控えめで優しそうなDさんは「ゴリゴリの営業向き」には見えず、面接は苦戦を極めました。不採用通知が続く日々。
それでも諦めずに受け続け、10社以上面接を受けた頃。ある製薬企業の面接官から、こんな言葉をかけられました。
「うちの営業は気の強い人が多くて、たまに医師に疎まれることがあるんだよね。だから、Dさんみたいな穏やかな人がチームに1人くらいいても、むしろ個性として良いかもしれないな」
その場では合格とは言われませんでしたが、「これは脈ありかも!?」とドキドキしながら結果を待つDさん。そして数日後……見事、内定の連絡が届いたのです!
「誰もが知るような超有名な大手企業じゃないし、基本給だけで見たら新卒薬剤師の初任給以下からのスタートです。でも、それでも『内定は内定』です!どんなに小さな会社でも、まずはこの業界で経験を積まないと始まらない。小さな積み重ねが、いつか大きな成果に変わる。それが癒し手タイプの最大の特性でもあるんですから!」
Dさんの声には、これまでにない力強さが宿っていました。
気になる転職後の生活は?
念願のMRへと転身したDさん。外回りの営業という全く新しい環境で、果たしてうまくやれているのでしょうか?
最初のうちは、とにかく先輩の後ろについて歩き回りました。営業のノウハウなんてまったくないまま転職しましたし、私は『何もないところから自分で考えてやってみろ』と放り出されるのが一番苦手なタイプなので、この手厚いサポート期間は本当に助かりました。
そして、独り立ちして自分で営業を回るようになると、嘘みたいに自信がついていたんです。もちろん、性格的にグイグイ押すような強気の営業は今でも無理です(笑)
Dさんの武器は、持ち前の「心配性」からくる「細やかな気配り」でした。
回数を重ねて何度も足繁く病院に通っていると、医師の些細な様子の変化や、現場が困っていることに誰よりも早く気づくことができます。それをネタに話しかけ、「よく気づいたね!」と距離を縮めたり、医師が今欲しがっている文献や情報を先回りして準備して持っていったり。
「こんな丁寧なことまでしてくれるの、Dさんだけだよ!」
そんな風に医師から直接感謝され、気に入ってもらえることがどんどん増えていきました。
「在宅勤務で部屋に閉じこもっていた頃の息苦しさは嘘のようです。外の空気を吸って、自分のペースでスケジュールを組みながら人に会いに行く。この働き方が、私にはすごく合っていました。『私、ちゃんとMRっぽくできてるかな?』って、最近一人で嬉しく思うことが多いんです」
今後やってみたいこと
最後に、すっかり頼もしい表情になったDさんに、今後の目標を聞いてみました。
ここでしっかり営業の経験を積めたら、次はもっと大きな会社にチャレンジしてみるのも手かな、なんて欲が出てきています。まったく違う製品の知識も得てみたいですし。
それに、医薬品にこだわらなくても、医療機器や電子カルテなどのITサービスなど、営業職としての選択肢はいくらでも広がっていることに気づきました。私、最新の機器や便利なサービスに目がないので、次はIT系の営業に挑戦するのも、大いにありですね!
「社会人だから耐えなきゃいけない」。そんな見えない鎖から自分を解放し、自身の「癒し手タイプ」の特性を最大限に活かせる場所を見つけたDさん。彼女のキャリアの開拓は、まだ始まったばかりです。
楠木かなえからのメッセージ
Dさんのストーリー、いかがでしたか?
「自分は気弱だから営業なんて絶対に無理」「在宅勤務ができている今の環境を手放すのはもったいない」。そんな思い込みから、知らず知らずのうちに自分の可能性を狭めてしまっている薬剤師さんは少なくありません。
しかし、自分の本当の性格タイプを知り、「何が心地よくて、何が苦痛なのか」を素直に受け入れることで、Dさんのように全く想像もしていなかった道が開けることがあります。弱点だと思っていた「心配性」が、営業現場では最大の「武器」に変わったように。
MRや医療機器メーカー、ITサービスなど、薬剤師の資格と知識を活かしつつ、あなたらしさを発揮できる企業でのフィールドはたくさん広がっています。
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